『サイレントヒルF』小説版、10月30日刊行――シリーズの常識を覆す“美しいがゆえに、おぞましい物語”を、もう一度

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『サイレントヒル』シリーズ最新作、『SILENT HILL f』の小説版『サイレントヒルF』が、10月30日に刊行された。

『サイレントヒル』シリーズは、1999年に発売された初代ホラーゲーム『サイレントヒル』から続く人気シリーズで、アメリカ北東部の架空の観光地「サイレントヒル」を舞台に、そこへ迷い込んだ人々や、「サイレントヒル」の関係者が、怪異や狂気に巻き込まれていく姿を描いてきた。

しかし、2025年に発売された本作『SILENT HILL f』では、その舞台を一新。物語の中心は、日本の田舎町「戎ヶ丘(えびすがおか)」へと移されている。静謐さと不穏さが同居するこの町を舞台に、シリーズの持ち味である“心の闇と恐怖の共鳴”が、より日本的な情緒とともに描き出されている。

当記事では、そんな『SILENT HILL f』のどういった点が異色と呼ばれているのか、また、小説版『サイレントヒルF』の製品情報について、解説を行う。

「美しいがゆえに、おぞましい物語」SILENT HILL fとは

はじめに、SILENT HILL fとはどのようなゲームなのか、その概要について、解説を行う。先に述べたとおり、本作は、2025年に発売されたサイレントヒルシリーズの最新作。左イレントヒルシリーズの外伝作品として位置付けられており、シリーズのファンはもちろん、はじめてサイレントヒルシリーズに触れるひとであっても、楽しめるような工夫が数多く凝らされている。

竜騎士07が紡ぐ、“心の闇”と“選択”の物語

次に、SILENT HILL fのストーリーとはどのようなものなのか。

昭和の古い時代。とある地方の山間部にある
寂れた田舎町、戎ヶ丘に住む高校生、
深水雛子(しみず ひなこ)。
彼女の日常は、ぼんやりとした灰色ではあっても、
思春期相応の平凡なものだった。

だが、そのいつもの日常は唐突に崩れ去る。
見慣れた町は霧に包まれ、おぞましく変貌していく。
人の気配は消え、代わって、
霧の中に奇怪な何かが蠢く。

変貌していく町を探索し、謎を解き、
身を守る為に戦い、生き残れ。

向かい合わなければならなかった選択と、
向き合う為に。
そして、殺さなければならない者を、殺す為に。

彼女が選ぶのは、美しき選択か。
それとも、おぞましき選択か。
美しくも、おぞましい選択の、物語。

公式サイトより引用

上記にあるように、本作は、地方の山間部で暮らす女子高生・深水雛子が、奇妙な現象に巻き込まれ、その過程で、自分や、周囲の人々の命運を大きく分けるような選択に迫られる、というストーリーラインになっている。

そんな本作のシナリオを手がけるのは、『ひぐらしのなく頃に』や『幻想牢獄のカレイドスコープ』などの作品で知られる竜騎士07氏だ。竜騎士氏は、人間の二面性や、心の中に潜む負の感情といった“生々しいリアリティ”を描くことで高い評価を得てきたクリエイターである。

たとえば『幻想牢獄のカレイドスコープ』では、極限状態に追い込まれた美少女たちが互いの不満や劣等感を剥き出しにし、精神的に追い詰め合う姿が描かれ大きな話題となった。表面上は可憐で整った世界観でありながら、その奥底に潜む醜さや恐怖を容赦なく照らし出す手腕は、多くのファンを魅了している。

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『サイレントヒルF』においても、そうした“心の闇に踏み込む視点”が物語の核をなす。恐怖は単なる脅威として外から迫るのではなく、登場人物自身の中からじわりと溢れ出し、やがて現実と幻想の境界を侵食していく。心理描写と精神崩壊の過程を描くことに長けた竜騎士氏が加わることで、本作に新たな深みをもたらしている。

“裏世界”が映す、人間の真の顔——『サイレントヒルF』の登場人物たち

また、本作が注目を集めているポイントは、キャラクター面にもある。発売前から、多彩で個性的な登場人物たちが話題を呼んでいたのだ。

たとえば公開されたティザー映像では、主人公・雛子に寄り添う狐面の謎の人物の姿が映し出されている。従来の『サイレントヒル』シリーズとは一線を画した、その独特なキャラクターデザインは、特に女性プレイヤーを中心に幅広い層の話題を呼んだ。

また、雛子の友人たちについても、注目すべき特徴がある。雛子の幼馴染である「修」は、1960年代という男尊女卑的思想が色濃く残る時代においても、雛子を対等な存在として接し、彼女の「女性として扱われたくない」という意思を尊重している。

さらに、神社の神主の娘で、行事の際には巫女として手伝う「咲子」、そして世話焼きで修に想いを寄せる「凛子」など、それまでのサイレントヒルシリーズからは考えられないような造形のキャラクターが数多く登場する。

凛子

咲子


加えて、雛子が迷い込む「裏世界」では、先に挙げた登場人物たちの隠された一面が浮かび上がる。前述の通り、本作のシナリオを手掛ける竜騎士07氏は、人間の二面性や潜在する狂気を描くことに長けた作家だ。その卓越した筆致によって、彼らの狂気や負の感情がどのように表現されるのかはまさに、本作の見どころのひとつだと言えるだろう。

彼らが雛子とどのように関わり、その存在が雛子の運命にどのような影響を与えるのか。ぜひ、自分の目で確かめてほしい。

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アクションが苦手な人にもおすすめ!小説版『サイレントヒルF』で味わう“静かな恐怖”

しかし中には、アクションゲームが得意ではない人や、登場するクリーチャーのデザインに、嫌悪感を覚える人もいるだろう。そんな方にこそ手に取ってほしいのが、今回刊行された小説版『サイレントヒルF』。


小説版では、ゲームならではの恐怖演出やアクションとは異なる、言葉で紡がれる“静かな恐怖”が味わえる。ページをめくるたび、じわりと心を蝕む不安と、登場人物たちの心の闇が、読者の想像力を通して立ち上がる——。ゲームの恐怖が「外側から迫る」ものだとすれば、小説の恐怖は「内側から染み込んでくる」ものと言えるだろう。
さらに小説ならではの心理描写や情景描写によって、戎ヶ丘という舞台の陰湿さ、日本的情念がより濃密に描き出されている。シリーズファンはもちろん、『サイレントヒル』に初めて触れる読者にとっても、本作は絶好の入口となるはずだ。

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