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『アイリス・オデッセイ パンドラの少女』とは、2026年5月29日に合同会社イースニッドよりSteamにて発売されたフルボイス対応 ビジュアルノベルゲームだ。
「アイリス・オデッセイ パンドラの少女」ASMR風花編
【CV:稲垣好】私がお耳を責任持ってケアします【アイリス・オデッセイ ASMR 風花編】 [イースニッド] | DLsite 同人
「アイリス・オデッセイ パンドラの少女」公式通販BOOTH
アイリス・オデッセイ公式通販 - BOOTH
Steamにて無料本編と追加DLCのセットが5月29日より好評発売中!
ざっくり言うと、「古き良き2000年代の国産アドベンチャーゲーム」と「現代ビジュアルノベルゲーム」を融合させた作品といえるだろう。
家族を軸とした現代魔法ファンタジーアドベンチャーゲームとでも表現したほうが良いだろうか。
『アイリス・オデッセイ パンドラの少女』-物語のキーワード
わたしは渋谷(ここ)で、家族を守りたい。
孤児の風花は行方不明の兄を探しながら、渋谷で暮らしている。
凶悪な魔導犯罪組織〈スカイシーカー〉を追う魔導士アイリスとの出会いを経て、事件の背後で暗躍する兄ミツバの存在を知る。
苦難を乗り越え「家族」となりえたかに思えた風花とアイリス。
様々な「家族」とのつながりを超え、陰謀渦巻く渋谷とイースニッドで待ち受ける強大な敵を2人は打ち砕くことができるのだろうか。
また、2人の物語の行方はいかに。
まずは本作をプレイした筆者による、物語を始める前に知っておきたい キーワード をいくつか紹介しよう。
・渋谷…物語の舞台となるのは魔法が存在する現代の渋谷だ。
・孤児…風花とミツバは出生不明の孤児として「ロバの家」で暮らしていた。
・行方不明の兄…風花が西園家に引き取られてから数日後、風花の兄ミツバは忽然と姿を消す。
・魔導犯罪組織…〈スカイシーカー〉を名乗る犯罪組織。風花やアイリスを執拗に追いかけ、とある崇高な目的の為に非道な行為をも厭わない。
・捜査官アイリス…本作のタイトルにもなっている少女。熟練の魔導士であり、地中海に存在するイースニッドという国から派遣されてきている。風花との関係性や物語の行く末に注目だ。
これらのキーワードを踏まえても、「何かが起きそう」な予感がする。
ファンタジーや魔法といった世界観に加え、文学的でなめらかなストーリーにも注目だ。
『アイリス・オデッセイ パンドラの少女』-豪華声優陣の起用
本作はフルボイス対応 ビジュアルノベルゲームとだけあって声優陣にもぬかりはない。


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アイリス役に小原好美さん、風花役には稲垣好さんらが起用され、圧巻の演技が至高だ。
・小原好美さん…代表作に「かぐや様は告らせたい」の藤原千花や「スター☆トゥインクルプリキュア」の羽衣ララ/キュアミルキーなどがある。活発な少女の印象から一転、本作ではミステリアスでクールなアイリス役を好演。彼女の演技に期待してほしい。
・稲垣好さん…代表作は「Do It Yourself!!-どぅー・いっと・ゆあせるふ-」の結愛せるふ。
本作ではASMRに挑戦し、西園風花としてファンのお耳を幸せにするとのこと。

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※ASMRは制作の合同会社イースニッド代表/監督 太田一行氏の趣味であることが独自取材のもと明らかになった。彼は食い気味に筆者へこれを買って聞きなさいと念を押してきた。読者の皆にも背筋がゾクゾクとなる感覚を味わってもらいたいので、彼のイチオシASMRをここに残す….
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『アイリス・オデッセイ パンドラの少女』-レビュー本編
筆者はビジュアルノベル初プレイ。
ストーリーの流れがスタイリッシュなため、初めてプレイする身であっても、すんなり物語に溶け込むことができた。
キービジュアルにもなっている2人の出会いは、所謂衝撃的な出会いではなく家庭教師と生徒。ここからどのような展開になるのか気になるところ。
電撃が走るような出会い方も良いが、さも最初からそこに居て実は重要人物でした!みたいな展開の方が映画好きな私にとっては好印象。
本質として、我々プレイヤーが風花とアイリスがどのように「家族」となっていくのかが綿密に、そして程よく描かれている。
※ここでいう程よくとは設定説明や魔法の話に寄りすぎていない事を指す。
ストーリー全体を通して、説明や解説は後述の「パンドラ」が行う。
登場キャラクターのバックストーリーや長ったらしい説明に飽き飽きすることなく、ストーリーに集中できるというわけだ。
イースニッドについての説明を聞いた。
観光業も栄えないほど小さな島国。「ミコノス島にでも行った方がマシ」というフレーズ。
ダイバースメディアにて掲載のインタビュー記事でもお伝えしたが、監督/脚本の太田氏は古代ギリシアやその神話から数々のアイデアを盛り込んだ。
早速ミコノス島が引き合いに出てきてクスッとした。
世界史を学んだ人なら分かると思うが、近隣の島であるクレタ島はかの有名なラビリンスのミノタウロスで有名なのだ。
ロバの家での一場面。担当刑事エリとの衝突。
行方不明の兄を必死に探す風花。
3年も進展の無い捜査に不安を抱く少女。
風花の気持ちは当人にしか分からないが、筆者も気持ちに寄り添うことはできる。
しかし、担当刑事エリの気持ちも分かる。
いくら刑事と言えど警察組織の中のひとり。勝手な立ち回りが許されている訳でもなく、上層の判断に委ねられる歯車のひとつ。
エリだって長い間こんな報告をするのは、誰より辛いはずだ。
風花をなだめる院長先生の言葉が胸に刺さる。
大人への不信感
社会への不満
馴染めない偽りの家族
風花にとっての家族はミツバだけなのだと認識させられる。
ここで描写の話を挟もう。
アニメや漫画には、独り言で状況を説明するキャラクターがしばしば登場する。
アイリス・オデッセイのキャラクターたちは、独り言をいわない。
何を言いたいのかというと、非現実的な物語の中に現実感(リアリティ)があるのだ。
例えば、海外では銃の所持が法律上認められている場合が多く、ドラマや映画の銃撃戦も実際に起こりうる現実感を表現している。
しかし、日本において銃の所持は違法。
ましてや銃撃戦が発生する事件はそう多くないし、警察も拳銃を先に抜くこともない。
日本のドラマやアニメ、映画における銃の使用は非現実的なのだ。
再度言うが、アイリス・オデッセイの独り言をいわないという設定は魔法が存在するこの世界での現実感を得られる些細な場面。だが、その些細な事が物語の非現実的な事象を「もしかしたら存在するかも」と錯覚させる。とても良い表現だ。
(しかしながら、後に脚本の太田氏に確認したところ、独り言や登場人物の感情を語る役割をパンドラ達が担っているためと語っている)
アンブロシア(作中に登場する飲み物)。ネクタルとも表現される。
神々の飲み物や塗り薬といったところ。
デメテルは我が子に、アキレウスは傷を癒すのに使った。
※デメテルはペルセポネの母・豊穣の神。
※アキレウスは不死身の身体を得た英雄。しかしステュクス川に浸される際、母が踵を掴んでいたが為に踵は人間のまま。トロイア戦争で敵国のパリス王子に弓で踵を射られ絶命。アキレス腱の語源
さてスペクタクルなアクションシーンについては割愛。是非自分の目で確かめてほしい。

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昨今のアニメやゲームでは主人公側につくヒロインや仲間は大抵、はじめから味方だったり成り行きから同行する事が大半だが、本作「アイリス・オデッセイ」では敵(実際は中立?)の立場から保護者(家族)となり、そこに友情や愛情が芽ばえるように思えた。
やはり、初めからそばに居る存在よりも行動や想いに絆されて関係を深めていくストーリーの方が人間味があり、かつ関係性に奥深さがでる。
風花とアイリス、2人の関係が今後どのように発展していくか気になるところである。
太田氏は『アイリス・オデッセイ』を端的に家族の物語と括った。それはギリシア神話にでてくるそれと同じだろうか。
ギリシア神話には家族愛や親子の絆といった物語が数多く存在する。
「アイリス・オデッセイ」における家族は風花とアイリス、アイリスとイースニッド、風花と西園家、西園家としての家族、ロバの家、風花とミツバ。
様々な家族の形や情景が複雑に絡み合ってストーリーの輪郭を形作っている。
そのどれもが楽しい思い出だけではない。
苦く辛い体験、野心や本能に溺れた人間関係、立場と建前、そして世界にたったひとりの肉親との別れ。
だが、そのひとつひとつが風花とアイリスの成長の糧となり、オデッセイ”長い冒険”へと繋がる。
ふと思った。
この「アイリス・オデッセイ」の世界観において、【死】という概念があまりにも儚い。
それは【死】に接するキャラクターが少なく、その誰もが自分の中に闇を抱えていたり、崇高な野望の元に仕方ないと考えているか、
家族の物語であれど、別れの物語では無いことを暗示しているのかは分からない。
昨今のコンプライアンスを考えればこそ、別の視点から【死】という概念に重きを置けないことも否めない。
筆者も物語の脚本を考える事が趣味で幾本か嗜んでいるが、そのどれもが憎しみや人の死を介した
血生臭さや泥臭いストーリーなのだ。
核心に迫るために、もしくは主体となるキャラクターを際立たせるために他のキャラクターを退場させる。
また、その描写もパフォーマンスとして取り入れる。筆者の中で「死」とはひとつの演出である。
しかし「アイリス・オデッセイ」では、キャラクターの「死」について具体的には描かれない。
また、それらの具象に対する人物達の悲しみも、心の動揺もあまり感じられない。
勿論、何らかの事情やキャラクターの意向により、彼らの「死」自体が主体となるキャラクターから
隠されていることもあるが、それは太田氏の死生観や家族愛、家族そのものに対する何らかの意図があるに違いない。
そしてそれこそが、物語の本質が家族とは何なのかを、我々プレイヤーに問うための余韻を与えてくれているようにも思える。
帰るべき場所を得る者。
家族との確執を乗り越えた者。
家族との因縁をとり払えた者。
血の繋がりや繋がりのないそれぞれの家族の形。
それは形骸的でありながら、行動や生活・苦楽を共にしてきた間柄であっても、家族になりうるのだと感じた。
総評して思うところは、
太田氏の好きな文学と古代ギリシア神話における「家族」の物語と王道の国産ビジュアルノベルの融合

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我々プレイヤーに対する“ある種の決着のつかない問い”を感じない。
問いを感じないというのは、作品をプレイした後に我々プレイヤーに考える余韻がないということ。
つまり、本作は考える余韻を愉しむのではなく太田氏の「家族」に対する答えを聞き、風花とアイリスの2人の「家族」の行く末を見守るノベルゲームなのだと解釈した。
登場人物が関わる【家族】というテーマに対して、家族の形や家族とは何なのかという問いかけをしストーリーを通して答えを出してくれる。
これは太田氏の伝えたかった【家族】であり、ルーツとなるギリシア神話の【家族】の物語なのだろう。
(※)“ある種の決着のつかない問いかけ”という筆者が考える概念について、補足説明しておこう。
DCコミックスを原作に持つスーパーヒーロー達の活躍とその後を描いた映画、DC版アベンジャーズ「ジャスティスリーグ」。監督はザック・スナイダー。
MARVELコミックスよりも大人向けのダークな世界観を有するDCコミックスが原作ということもあり、
特殊能力を持つスーパーヒーロー達が世界を救うために戦いを繰り広げる。
災厄の危機を救ったかに見えたが、戦場となった都市は甚大な被害を被り多くの市民が命を落とし、都市インフラを壊滅させた。
世界を救ったスーパーヒーローを神として崇める者達がいる中で彼らを人殺しと揶揄する者も少なくない。
果たして彼らは世界を救ったヒーローなのか、それとも、罪のない市民から日常と愛する者たちを奪った殺人者なのか。我々はどう考えるだろうかといった広義に解釈が及ぶ作品。
ストーリーはスピード感があり、長すぎず短すぎない。戦闘シーンは美麗なグラフィックと背景描写の細かい脚本でスリルがある。
ストーリーに関わる登場人物たちへ感情移入がしづらく、感情に寄り添ったプレイが難しい印象もあった。だがそれは、太田氏なりのというか太田氏の好きな古代ギリシア神話や文学の表現なのだろう。
神話の物語における神々の出自やバックストーリーはさほど重要ではない。
この物語がどういう軌跡を辿り、結末に行き着くのか。
一本道ビジュアルノベルの王道というわけだ。
怒りや動揺、焦り。そういった一つ一つの感情を汲み取り、個々のキャラクターの情景や背景を深掘りした知識を有していれば更に楽しめるのではないかとも感じた。(でもファンタジー物でヒューマンドラマでは無いのならば、そこまで考える必要もないし十分に楽しめる)
ただ、今回プレイしたのは無料版の本編であり、有料DLCも販売されている。
有料DLCにおいて、キャラクターたちの背景に迫る追加の物語や今後の行方が描かれている可能性は十二分にある。また、収集要素の回収でシークレットコンテンツを解放すれば新たな情報を得ることができるかもしれない。
『アイリス・オデッセイ パンドラの少女』-最速レビューまとめ
・文学と古代ギリシア神話における「家族」の物語と王道の国産ビジュアルノベルの融合
・本作は考える余韻を愉しむのではなく太田氏の「家族」に対する答えを聞き、風花とアイリスの2人の「家族」の行く末を見守るノベルゲーム
・物語がどういう軌跡を辿り、結末に行き着くのか一本道ビジュアルノベルの王道
・追加有料DLCやASMRなど本作の今後に期待
無料版本編と追加DLCがセットになった完全版も好評発売中!
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