斬新かつぶっ飛んだストーリーと設定、目を惹くビジュアルで話題を呼ぶインディーゲーム『ミステリーアドベンチャー 犯人はメイド』。
現在、好評配信中の体験版が注目を浴びている本作であるが、今回はそんな『ミステリーアドベンチャー 犯人はメイド』を手掛けるサークル「ななにのん」代表の伏見ヒナタさんに独占インタビューを行った。
作品に込められた情熱やこだわり、制作や開発の裏側まで、ダイバースメディアでしか読めない貴重な情報であるため、ぜひチェックしてほしい。

©ななにのん/伏見ひなた
作品概要
『ミステリーアドベンチャー 犯人はメイド』
ジャンル:ミステリーアドベンチャー
製品版リリース予定:2026年
デモ版好評配信中!ウィッシュリスト登録もこちらから
犯人はメイド、そして主人公。あなたは犯人となり、孤島の館へ招かれた六人の客を一人ずつ襲撃していくこととなります。計画を達成するまで、決して疑われてはならない。周囲の疑惑から逃れるため、議論で相手を『論破』し、自分の正体を隠し通そう!
制作したゲームは20作以上!伏見さんによる個性的な作品の数々

…ダイバースメディア

…伏見さん

本日はよろしくお願いします!
最初に伏見さんのご経歴と、ゲーム制作を始められるまでの経緯を教えてください。

実は最初のきっかけは何も思い出せないんです。
ただゲームが好きで、ゲームしかないような人生を送ってきたような人間で、漠然とゲームが作りたいという想いはあったんです。
卒業文集に『ゲームを作る人間になりたい』とも書いたことがあります。


▲東京ゲームショウ11の「ななにのん」展示ブース(左)とばっちり目を惹くメイドさん(右)

実際に制作を始められたのはいつ頃からでしょうか?

20代後半の時に仕事の傍らゲーム制作を始めました。
第1作目はフリーゲームとして2021年頃に発表した『サモナーズ・エーディーエス』ですね。
『サモナーズ・エーディーエス』
そこからフリーゲームをずっと制作してきて…2022年に発表した『先輩の作ったゲームをプレイする佐藤くんの話』を「ゲームシステムが面白い!」ということで、メディアで取り上げていただきまして。
『先輩の作ったゲームをプレイする佐藤くんの話』
そこから少しずつ話題になって、8作目の『えっ、いや・・・俺は犯人じゃないです!!』が結構バズったんです。大手配信者のレトルトさんや、にじさんじのフレン・E・ルスタリオさんに取り上げていただいて。
【神ゲー】犯人が一発で分かっちゃうミステリーゲームが凄い『 えっ、いや・・・俺は犯人じゃないです!! 』
そこからかなり色んな方に実況いただいて、私自身がというよりはゲーム自体が有名になりましたね。それからゲーム制作をずっと続けていって、20作目…。

20作も!

はい、もう20作も作ってるんだなって自分でもちょっと驚いてるんですが(笑)
1年かけて、おそらく10作くらい作りました。

制作のペースがものすごく速いですね。

小さいゲームをたくさん作り続けてきたので、そのフィードバックが今とても活きていますね。
20作目くらいになった時に、イラストに力を入れた豪華なゲームを作りたいという考えに至ってサークル「ななにのん」を立ち上げました。
それで作ったのが『立ち絵が変なポーズの恋愛アドベンチャー』ですね。
『立ち絵が変なポーズの恋愛アドベンチャー あるいはオリジナリティの無い卒業までの日々』
「立ち絵が変! ストーリーも変! カオスを楽しむ恋愛アドベンチャーゲーム!!」
※こちらのリンクからは、パイロット版として制作された無料の短編バージョンがダウンロード/プレイ可能
こちらは製品版のイラスト制作が難航していてシナリオ担当の私が少し手が空いてしまったのもありまして。それで作り始めたのが、今作『ミステリーアドベンチャー 犯人はメイド』です。

©ななにのん/伏見ひなた
心ゆくまでふざけてOK!エンディング分岐なしの『犯人はメイド』で、とにかく笑える体験を

本作のジャンル・コンセプトを一言で表すと?

一言で言いますと「犯人視点のコメディタッチミステリー」です。ギャグ中心のミステリーゲームですね。
主人公が犯人、つまりプレイヤーとして連続殺人の計画をして、ターゲットを襲撃していく…というストーリーのゲームです。
犯人視点のミステリー、倒叙型というのですが、インディーゲームではまだあまり少ないジャンルかなと。今作ではプレイヤーの皆さんに新しい体験をしてもらえるのではないかと思っています。

ミステリーは元々お好きなんですか?

そうですね。ミステリー漫画だと『名探偵コナン』や『金田一少年の事件簿』も好きですし、読書もよくするんですがほぼミステリー小説ですね。

今作では、どのようなプレイヤー体験を最も大切にされていますか?

プレイヤーに余計な不安や迷いを与えないという点ですね。
今回はギャグのゲームなので、プレイヤーの方にはもう選択肢で精一杯ふざけてほしいなと。今作はバッドエンドなし、選択肢はゲームのストーリーを左右しません。
Steamのページでもエンディングは1種類(シングルエンディング)です、とあらかじめ告知しています。
余計な心配をせず、心の底から笑える、そんなコンセプトのゲームにしたいなと思っています。

我々も体験版をプレイさせていただいたんですが、最初の“招待状”のシーンで「あ、ふざけていいんだ!」というのがよくわかりました(笑)

ありがとうございます(笑)
でも体験版をプレイしてくださった方でも、変な選択肢を選んだらゲームオーバーになるのでは…?と心配される方もいて。注意書きで「どれを選んでも大丈夫ですよ」などの文言を入れるかどうかは、少し悩んでいますね。
東京と大阪それぞれの展示会に出展してみて、関西の方が何も気にせず変な選択肢を選ぶ方が多かったです(笑)
ゆくゆくは海外向け、英語や中国語でのリリースも視野に入れているので、バランスを取って作っていきたいなとは思っています。

ポップなジャパニメーション的なビジュアルは、海外の方も好きそうですね。

海外でも80年代~90年代くらいの日本ブームがきていますしね。
デザイナーさんがレトロなイラストが得意な方なので、ミステリーとも波長が合うと思っています。今回、音楽もオリジナルなんです。80年代前後のシティポップを主軸に、レトロ感が感じられるような音楽を作っています。

この次にビジュアル面のこだわりをお聞きしようと思っていたのですが、今お話してくださったようなところでしょうか?

そうですね。他にも、ゲームのスクリーンショットを撮った時に、1枚の画像としてインパクトがある絵面になるようにというのはこだわっています。
「ミステリーゲームの1枚絵です」って半裸の男が画面に写ってたら面白いなとか(笑)

©ななにのん/伏見ひなた
テキストアドベンチャーって〇〇〇から始まるんだ!影響を受けた意外なゲームと、音声にこだわったチーム体制

着想としては、先ほどお聞きしたミステリーが好きで、というところなんでしょうか?

私の好きなミステリー作家の「有栖川有栖」さんの「作家アリス」というシリーズがあるのですが、定番の流れとして、ワトソン役が事件についての推理を名探偵に披露するという場面があるんです。
その推理は結構ツッコミどころがあるものも多く、笑うしかないようなものもあったりするんですけれど。その推理を名探偵が聞いて、思考を刺激されて、最終的に真相に辿り着くという流れがあって。
そのシリーズを読んでいて『ワトソン役の馬鹿げた推理がそのまま正解だった場合どうなるんだろう』と思ったんです。そこから、このゲームの着想が生まれました。
変な推理とか、犯人の馬鹿げた行動が実際にそうだったら面白いよね、と。

そういったミステリーの定石を知っている方にも、楽しんでもらえそうで良いですね。
では、企画初期と現在で大きく変わった部分はありますか?

システムとかコンセプトは、ほぼ変わってないですね。
唯一変わったところとしては…シナリオが3倍に増えたところでしょうか(笑)

それはもう筆がのって、という感じでしょうか?

ですね(笑) 予想以上に、犯人がものすごく喋るようになっちゃって。
犯人のセリフは最初もっと少なかったんですが、名探偵以上によく喋るようになってしまって。

©ななにのん/伏見ひなた
あと変わったのは、タイトルでしょうか。最初はもっとオシャレな、捻ったタイトルだったんですが、途中で「いや、これはド直球のほうが面白いな」と思って今のタイトルになりました。これは正直、成功でしたね。
ものすごく宣伝がしやすくなりました。タイトルでゲームの説明がほぼできてしまうので。

次に苦労した点とそれをどう乗り越えたか…をお聞きしたいんですが、今まさにというところかもしれないのですが。

そうですね、今まさに大変なところとしては、やはりシナリオが3倍になったことでボイスの収録数も3倍に増えたことですね。今作は、テキストを読むのが苦手な方にも、ボイスでフォローすることで楽しんでもらいたいというコンセプトもあったんです。
我々「ななにのん」としては、フルボイスは初挑戦なんですが、ボイスの収録量は大作ゲームと遜色ないくらいになりました。
プロの声優さんや、音に詳しいスタッフも開発のコアメンバーに入れているのでクオリティもしっかりしたものになっています。クオリティを担保した上で量が増えてしまったので大変、というところですね。

チーム体制や役割分担について可能な範囲で教えてください。

開発のコアメンバーが私含めて4名ですね。
ディレクターとシナリオ・システム開発が私。あとはプロデューサーが1名、作曲・音響担当が1名、収録の有識者兼ボイスディレクターが1名です。
イラストは外部委託のイラストレーターさん※にお願いしています。
※桃野サオさん
レトロテイストのイラスト/アニメーション制作などを手がけるクリエイター
https://momonosao.tumblr.com/
プロデューサーも音声関係に強い人間なので、音声重視のメンバー編成になっています。

盤石の体制ですね!
次に、インディー開発ならではの強み・難しさをどのように感じていますか?

私たちのゲームのようなギャグ中心のゲームは、インディー開発の方が作りやすいんだろうな、と思っています。
「ギャグ」って人の感性に働きかける部分がとても大きいので、たとえば企業の大作ゲームとしては、なかなか企画が通りにくいのではと思います。
企画段階でこのギャグがどこまで通じるのか、はどうしても判断がつかないですからね。
我々は4人なので、そこをクリアして進めることができるというのは、強みですね。

ギャグへの熱意をとても感じるのですが、「ギャグ」「コメディ」において影響を受けたものなどはあるんでしょうか?

下地になっているのは、おそらく「Key」のゲームですね。
「Key」株式会社ビジュアルアーツのゲームブランド。恋愛アドベンチャーゲームの名作を数多く制作している。https://key.visualarts.gr.jp/
私が初めてプレイしたテキストアドベンチャーが「Key」のゲームで、そのシナリオ担当の麻枝准さんと久弥直樹さんお二人の個性だと思うんですが…日常パートがかなりギャグで埋め尽くされていて。二人とも関西人なのもあるかもしれませんね。
それを初めてプレイしたので「テキストアドベンチャーって基本ギャグから始まるんだ!」って考えてしまって。
今もそこの観念が崩れずにあって、そのノリのギャグを今もやっているという感じです。
特に『智代アフター』という作品が大好きでして、シナリオ担当の麻枝准さんが作りたいものを作りたい、書きたいものを書きたいということでギャグだらけなんですね。
立ち絵や、テキストアドベンチャーのあるあるを使いながら笑わせてくれるという感じで。そこから強く影響を受けていると思います。

©ななにのん/伏見ひなた
細部までしっかり作り込むことで、楽しさと笑いを届ける「ななにのん」のゲーム

伏見さんが考える“良いゲーム”の定義とは、なんでしょう?

私がこれまでやってきた中で『良いゲームだな』と感じたのは、システムやストーリー…というよりは、細かい部分までプレイフィールにこだわっているものですね。
ボタンを押しているだけ、歩いているだけ、選択肢を選んでいるだけで楽しい、というような。
単純にボタンを押して歩き始めるまでにラグがあると、ストレスになりますよね。
コントローラー、あるいはキーボード・マウスで思い通りに動かせる、そういった細かいところまでしっかり考えているゲームは、いいゲームだなと思います。
『犯人はメイド』もプレイヤーが心地よいプレイができるように、というのは気を使っています。また、プレイヤーが飽きないよう、全体的にテンポがいいように作っていますね。テキストアドベンチャーゲームとして『良いゲーム』は中だるみが起きない=眠くならないゲームだと考えています。

体験版のオープニングからプロローグのテンポも良くて、入り込みやすかったです。

ありがとうございます。体験版のオープニングはまだ一部分で、主題歌がつく予定です。主題歌は2曲ありまして、1曲は既に公開している「うわのそらぼ」さんの『衝撃的な告白』という曲です。タイトルからして我々のゲームのコンセプトや、ミステリーという内容にもぴったりな曲だったので、「ぜひ使わせてください!」と打診しました。
うわのそらぼ『衝撃的な告白』
もう1曲はまだ未公開のオリジナル曲です。ぜひ公開を楽しみにしていただけたら。

本作を通じてプレイヤーに持ち帰ってほしい感情は何でしょうか?

「腹筋が崩壊するくらい笑った」という感想がもらえたら一番だなと思っています。
シンプルな「笑いました」を超えて「爆笑しました!」とか「腹筋が~」とまで言ってもらえたら、本当に笑ってもらえたんだなと。そんな感想が生まれるよう、引き続き作っていきたいですね。

©ななにのん/伏見ひなた

今回の開発でご自身の中で最も成長を感じた点は?

端的に言うと、ディレクションをする力がついたかなと思っています。
チームメンバーが作ってきたものをディレクターとしてチェックするという体制の中で、ディレクション能力が培われたかなと。
他の方が作ってきた、かつ私の専門外のものに対して、うまくゴールに導けるように指摘したり、もっとここを伸ばしてほしいと伝えたり。そうしたことができるようになったなという気がします。

今後「ななにのん」として挑戦したいテーマやジャンルは?

フリーゲーム制作の時に、最初にシステムが面白いと注目されたので、システム面に全振りしたようなゲームを作りたいとは考えています。どちらかというと今はアドベンチャー、物語重視のものが多いので。
例えばスイカゲームのようなパズルゲームなんかにも挑戦してみたいですし、もっとディレクションのスキルが身についてきたらRPGにも挑戦したいです。

意欲的で素晴らしいです!それでは最後に、読者/プレイヤーへのメッセージをお願いします。

今作はビジュアルの面白さだけでなくボイスや音声関連にもこだわっています。
目で見るもの・耳で聞くもの、両方合わせた豪華で、かつ笑える体験ができるゲームになっているので、ぜひ遊んでみてください!
まずは今配信中の体験版をプレイしてもらえると嬉しいです。ウィッシュリストへの登録もぜひよろしくお願いします!
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