「チ。-地球の運動について-」受け継がれる知、異才「魚豊」による傑作

魚豊による漫画『チ。-地球の運動について-』アニメ化記念特集。前作『ひゃくえむ。』と最新作『ようこそ!FACTへ』の紹介も 漫画

「チ。-地球の運動について-」とは

漫画家魚豊(うおと)による漫画であり、ビッグコミックスピリッツで連載されていた。単行本は全8巻、累計発行部数は500万部を突破。

2025年3月に待望のアニメ版最終話が放送され、多くの反響を呼んだ。

舞台は、天動説が常識とされ、地動説を語るだけで異端として処刑されるような時代。その中で、地動説を信じ、命をかけてその真理を追求しようとする人々の姿が、複数の世代を通して描かれている。

単なる歴史作品にとどまらず、知りたいという衝動、信じるという葛藤、そして受け継がれていく研究と意思が世代を超えて描かれ、知的でありながら心を揺さぶる群像劇である。

魅力と見どころ

本作最大の魅力は、歴史×科学×宗教×思想という複雑で難しいテーマをわかりやすく描いている点にある。

天文学、宗教弾圧、異端審問など、重い題材を扱いながらも、登場人物たちの動きを丁寧に描くことで、自然と物語に没入できるよう工夫されている。

なぜ「チ。」はカタカナなのか?

各章ごとにバトンのように受け継がれる「地」動説と「知」。そして流れる「血」。

カタカナ表記にしたことで、曖昧さや多義性が強調され、シンプルながらも深みのある印象的なタイトルとなった。

前作「ひゃくえむ。」

走るのが速いというただ一つの才能を軸に、人間関係と成長を描いた異色のスポーツ漫画。走るのが速いだけの天才少年と出会った足の遅い少年、成長するたびに代わる二人の才能と環境。そんな二人の人生の話。

ただのスポーツ漫画ではなく、才能、努力、時間、環境、人間関係が詳細に描かれており、こちらも魚豊ワールド全開でうまくまとめられている。

また、この「ひゃくえむ。」が2025年9月19日に劇場アニメ決定!

次作「ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ」

あの人に、好きな人はいるのかなーー あの時話していた言葉の意味ってーー 抱いた恋心が溢れるとき、世界を動かす謎に迫っていくーー!

『チ。』『ひゃくえむ。』の魚豊が描く、圧倒的新機軸、前代未聞のラブコメストーリー!!裏サンデー公式サイトより

恋と陰謀論がテーマの今作。主人公は非正規社員の青年。大学生で家が裕福な女性と出会い、恋に落ちる。恋すると世界は変わるというが、いい方向に変わるとは限らない。そんな中主人公は陰謀論に出会い、様々な経験を得ていいく。主人公の恋は実るのか、陰謀論はあったのか?

まとめ

『ひゃくえむ。』『チ。-地球の運動について-』『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』すべてに共通しているのは、考えることをやめない姿勢

それはスポーツであっても、学問であっても、恋愛であっても変わらない。

どの登場人物も、時に迷いながらも、自分の人生や信じるものに向き合い、思考し、決断していく。

魚豊作品を通して私たちが得られるのは、壮大な物語だけではなく、「生きるとは何か」という根源的な問いかけなのかもしれない。

この記事を書いた人

副業としてライティングに取り組んでいる社会人ライターです。
漫画の魅力をわかりやすく届ける記事制作を心がけており、読者目線で共感を生むレビューを意識しています。
ちなみに、漫画はハッピーエンドが好きですが、結末がしっかりしていればバッドエンドでも楽しめる派です。

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